エンゼルス時代、「ザバス」のCMで自分の“筋肉の声”と共演し、
インスタグラムでは495ポンド(約225キロ)のデッドリフトを軽々と引き上げた男がいる。
──大谷翔平。
あの頃は、まだ「筋肉を増やした二刀流の怪物」というイメージだった。
だが今、ロサンゼルス・ドジャースで4度のMVP、2年連続ワールドシリーズ制覇、
そして2025年シーズンには打率.282、55本塁打、20盗塁、OPS1.014という歴史級の成績を残し、
“二刀流モンスター”は「完成形のアスリート」へと姿を変えつつある。
この変化の裏側にあるのが──高校時代から続くザバス(SAVAS)による栄養戦略と、
495ポンドのデッドリフトに象徴されるウェイトトレーニングだ。
今回は、かつての「ザバスとデッドリフトで筋肉増強!」という視点を、
- ドジャース移籍後の爆発的な成績
- 二度の肘手術と、その先にある「長く戦うための身体作り」
- 2025年シーズンの二刀流復活
という最新の文脈にアップデートしながら、2025年現在の大谷翔平の“身体”とトレーニングを追っていく。
この記事を読むとわかること
- 大谷翔平が高校時代から続けるザバスを軸とした栄養戦略の意味と効果
- 495ポンド(約225kg)デッドリフトが生み出した“後ろ側の筋肉”の重要性
- 2025年ドジャースでの成績と「完成形アスリート」としての身体の特徴
- 二度の手術後に変化した最新トレーニング思想と「長く戦う」ための身体管理
大谷翔平の筋肉を育てたザバス──高校時代から続く「相棒」
まずは、この物語の起点であるザバス(SAVAS)から振り返ろう。
ザバスは、明治が1980年から展開している日本発のスポーツサプリメントブランドで、
「アスリートのための栄養サポート」を掲げてきたプロテインの代表格だ。
ブランド名の“SAVAS”は、
Source of Athletic Vitality and Adventurous Spirit
(アスリートの活力と冒険心の源)という言葉の頭文字から来ていると言われている。
大谷翔平とザバスの関係が公に語られたのは、日本ハム時代〜エンゼルス移籍後の頃。
2021年には、ザバスのテレビCM「筋肉の声」篇に出演し、
「私は、大谷翔平の筋肉です!」という印象的なコピーとともに、
トレーニングシーンと鍛え上げられた二の腕が全国に流れた。
CMや各メディアで語られている通り、
大谷は花巻東高時代からザバスを飲み続けてきた存在だと紹介されている。
当時、身長186cmで体重70kg前後と細身だった身体は、
トレーニングと食事、そしてプロテインを組み合わせることで、今の「分厚い身体」へと変貌した。
エンゼルス時代、テレビ中継に映る上半身の厚みが年々増していったのは、
筋力トレーニングだけでなく、継続的な栄養戦略の成果でもある。
プロテインは魔法の粉ではない。
だが、厳しいトレーニングとセットで続けたとき、
「鍛えた分だけ、筋肉に変わる」という当たり前のサイクルを支えてくれる。
495ポンドのデッドリフト──“後ろ姿”で勝つ身体づくり
筋肉を語るうえで欠かせないのが、デッドリフトだ。
2020年、大谷は自身のインスタグラムに「495lbs」というコメントと共に動画を投稿。
ヘックスバー(六角形のバーベル)を使い、約225キロを一気に引き上げる姿が話題になった。
そもそもデッドリフトは、「身体の後ろ側」を総動員する種目だ。
- 脊柱起立筋(背骨を支える筋肉)
- 広背筋・僧帽筋(背中)
- 大臀筋(お尻)
- ハムストリングス(太もも裏)
野球選手にとっては、「下半身 → 体幹 → 上半身」へと力を伝える“幹”を太くするトレーニングだ。
投手としては球速や球威、打者としてはスイングスピードや飛距離、
そして試合後半になってもパフォーマンスを落とさないスタミナの土台になる。
ただし、デッドリフトはフォームを誤ると腰を痛めやすいリスクの高い種目でもある。
だからこそ大谷は、より安全性の高いヘックスバー・デッドリフトを取り入れていると見られる。
バーの内側に立って持ち上げるこの形なら、
重心が身体の中心に近くなり、腰への負担を減らしつつ高重量を扱いやすい。
495ポンドという数字は、一般的なトレーニーから見ても「怪物級」の重量だ。
だが重要なのは数字そのものよりも、
「二刀流で戦うために、それだけの負荷をコントロールできる身体を作ってきた」という事実だろう。
その“後ろ姿”の強さこそが、
のちにMLBを二年間連続で制するドジャース大谷翔平の、土台になっている。
ドジャース大谷翔平、2025年の「完成形ボディ」と成績
では、その身体は2025年現在、どんなパフォーマンスを生み出しているのか。
ここからは数字で見てみよう。
◆打者としての2025年シーズン
2025年のロサンゼルス・ドジャースでの大谷は、
まさに「打線のすべて」を背負うバッターだった。
- 打率:.282
- 本塁打:55本
- 打点:102
- 盗塁:20
- OPS:1.014
- 得点:146(現代ドジャース記録級)
- 塁打数:380
- 長打数:89
リーグトップクラスの長打力と出塁力を両立し、
スラッガーでありながら走塁でも相手バッテリーを揺さぶる。
「50本塁打×20盗塁」を複数回達成した史上初の選手としても、記録に名を刻んだ。
2023年にはア・リーグ本塁打王(44本)を獲得し、
2024年にはドジャースで史上初の「50本塁打・50盗塁(50/50クラブ)」に到達。
そして2025年、55本塁打でチームの連覇に貢献した。
ホームラン王、日本人初、という期待が語られていたあの頃からすると、
もはや「ホームラン王は通過点」になってしまった感すらある。
◆投手としての2025年シーズン
二度目の右肘手術を経て、2025年に投手としても復帰。
シーズンを通して慎重にイニングを管理されながらも、
以下のような数字を残している。
- 登板:14試合
- 投球回:47回
- 防御率:2.87
- 奪三振:62
フルシーズンの先発ローテとは言えない回転数ながら、
投げればきっちり試合を作り、奪三振能力も健在。
肘と肩の手術歴を抱えながらも、
「投げて良し、打ってはMVP級」という前代未聞の領域に、再び戻ってきた。
◆MVPと“歴史の中の大谷翔平”
ここ数年のタイトルだけを並べても、その異常さがわかる。
- 2021年:ア・リーグMVP(エンゼルス)
- 2023年:ア・リーグMVP(エンゼルス)
- 2024年:ナ・リーグMVP(ドジャース)
- 2025年:ナ・リーグMVP(ドジャース/2年連続)
両リーグでMVPを受賞した選手は、史上わずか。
さらに4度のMVP、しかもすべて満票という領域は、
もはや“比較対象がバリー・ボンズか、あるいは誰もいない”世界だ。
その頂に立つ身体を作るうえで、
ザバスをはじめとした栄養戦略と、
495ポンドのデッドリフトに象徴されるウェイトトレーニングがあった──そう考えると、
「プロテインと筋トレ」の話は、いつの間にか「MLBの歴史」の話になってしまっている。
二度の手術を経て──「鍛える」から「長く戦うために整える」へ
もちろん、筋肉を増やし、重いバーベルを持ち上げるだけでは、
二刀流を長く続けることはできない。
大谷の身体は、2023年の右肘手術と、2024年の左肩の手術を経て、
「とにかく強くなる」から「長く、質高く戦う」方向へとシフトしている。
ドジャースは、大谷の復帰プランについて「長期的な健康を最優先にする」と繰り返し語っている。
2025年の投球復帰に向けては、
ブルペンでの投球数や登板間隔を細かく管理し、
理想的には18〜20先発程度を目標にする、といった報道もなされてきた。
トレーニングも、かつての“とにかく追い込む”スタイルから、
- 可動域や柔軟性を重視したモビリティワーク
- 体幹の安定性を高めるコアトレーニング
- シーズン中は「維持」と「疲労管理」を最優先にしたウェイトコントロール
といった、「パフォーマンスと耐久性のバランス」を取るフェーズへ移っていると見られる。
かつて、日本のメディアは「ムキムキになった大谷翔平」と見た目の変化を面白がった。
だが2025年の彼を見ていると、
筋肉は単なる“見た目の武器”ではなく、
「肘や肩を守りながら、なお二刀流を続けるための防具」に近い。
勝負の瞬間、数字は嘘をつかない。
でも、数字の裏側で、筋肉と関節にどれだけの負荷がかかってきたかは、もっと雄弁だ。
大谷翔平のトレーニングから一般人が学べる3つのポイント
ここまで聞くと、
「いやいや、495ポンドとかMVP4回とか、別世界すぎて参考にならないよ」
と思うかもしれない。
でも、一般人だからこそ真似できるポイントも、実は多い。
① 「鍛える前に、食事と睡眠を整える」
大谷は、トレーニングと同じくらい栄養と睡眠を重視していると言われている。
ザバスのCMでも「トレーニングしたら、ザバスを飲む」という流れが描かれていたが、
これは「運動 → 栄養補給」の基本をそのまま体現している。
いきなり高重量の筋トレをする前に、
- タンパク質を毎食しっかり摂る
- 就寝時間と起床時間をなるべく一定にする
- トレーニング後に軽めでいいのでプロテインや牛乳を飲む
といった「土台づくり」から真似してみる方が、よほど大谷に近いアプローチだ。
② 「後ろ側の筋肉を鍛える」
現代人は、スマホやPCの影響でどうしても「前のめり」の姿勢になりやすい。
大谷が495ポンドのデッドリフトで鍛えてきたのは、背中・お尻・太もも裏といった“後ろ側”だ。
ジムに行かずとも、
- ヒップリフト(お尻上げ)
- 自重のルーマニアンデッドリフト(ペットボトルや軽いダンベルでもOK)
- バックエクステンション(うつ伏せでの背筋運動)
といったメニューで、
「後ろ姿の筋肉」を意識してみると、姿勢も疲れ方も変わってくる。
③ 「長く続ける前提で、無理をしない」
大谷ですら、肘と肩の手術を経験している。
それだけ、身体を追い込むことはリスクと隣り合わせだということだ。
だからこそ、一般人はなおさら、
- フォームが崩れるほどの重量は扱わない
- 疲れている日は思い切って休む
- 痛みが出たら、それを「サイン」として受け取る
といった「続けるためのルール」を自分の中に持つべきだ。
大谷のように二刀流で戦う必要はないが、
「仕事と健康の二刀流」を目指すのなら、この感覚は欠かせない。
この記事のまとめ
- ザバスとデッドリフトは、大谷翔平の“二刀流の身体”を作り上げた原点である。
- 2025年の大谷は55本塁打・20盗塁、さらに投手復帰で二刀流の完成形へ進化している。
- 二度の手術後は「鍛える」から「長く戦うために整える」トレーニング哲学へ移行している。
- 大谷の身体づくりは一般人にも応用でき、“健康とパフォーマンスの二刀流”のヒントになる。
おわりに──数字の裏にある“筋肉の声”
花巻東の細身の高校生が、ザバスを飲みながら筋肉を増やし、
エンゼルスで495ポンドのデッドリフトを引き上げ、
やがてドジャースで4度のMVPと2年連続のワールドシリーズ制覇を成し遂げる。
その途中には、肘の手術も、肩の手術もあった。
二刀流をあきらめろ、という声も、何度も浴びたはずだ。
それでも大谷翔平は、トレーニングと栄養、そして自分の身体と対話し続けてきた。
「筋肉の声」というCMコピーは、今振り返ると、驚くほど彼らしい。
筋肉は派手に喋ったりはしない。
だが、積み上げた日々は、必ずどこかで数字になって帰ってくる。
ベーブ・ルースを超え、日本人初のホームラン王になり、
ドジャースでMVPとワールドシリーズ制覇を重ねた今も、
大谷の物語はまだ途中だ。
これから先も、彼のホームランや奪三振を見るたびに、
俺はきっと、あのヘックスバーとザバスのシェイカーを思い出すだろう。
数字の裏には、いつもひとりの人間の鼓動がある。
大谷翔平の筋肉は、今日も静かに、それを証明している。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

